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債権者代位権とかのメモ

債権者代位権とかのメモ

概要

債権者代位権は代理権の限定された代理行為に類似する気がする。

はじめに

行政書士の参考書(LEC 行政書士 合格基本書2015年版)に載っていた具体例(236頁)に対して屁理屈とかを当てはめてみた。

事例

 AはBに対して貸金債権を有すが、BにはCに対する債権以外にめぼしい財産がない。この時BがCに対する権利を行使せずにいたため、Cに対する債権の消滅時効が完成しそうである。

 本件事案に於いてAはいかなる行動をすべきであるか述べよ。

回答

□本件事案でAはBに対して債権者代位権を行使してBの持つCに対する債権を代位行使し消滅時効の完成を防ぐべきである。
□ここで債権者代位権とは、債務者が自分の権利を行使しない場合、債権者が債務者に代わりそれを行使する権利である。この権利は、債務者の債権弁済可能性を下げる行為を債権者が防ぐことができるという性質を有する。しかし債権者代位権を債務者の全ての権利を債権者が行使できる権利であると解するのは相当ではない(例えばXの貸金債権の債務者であるYがXに対して有する権利を理由に、XがYに対して持つ債権(貸金返還請求権等)をYが自由に免除できてしまっては、本来の債権者であるXの意思に関係なく債権の権利変動行われてしまうことになる。したがって債権者代位権を債務者の持つ権利のすべてに対して債権者が自由に行使できるものであると解することは、社会秩序の混乱が生じ得るから認められない)。
□したがって債権者代位権は一定の行使可能な範囲内でしか行使できない権利と解すべきである。
図1
図1、債権者代位を理由としたYのこの行為は認められないと思う。
□この債権者代位権が行使できる一定の範囲について、そもそも債権者代位権は債権者に債務者の持つ財産権を保護できるようにして債権者の持つ債権の弁済可能性が著しく低下することを避けるためのものである。したがって債権者代位権の対象となるのは債務者の責任財産(強制履行の対象となる財産権)に限定し、それ以外については当事者間の努力で解決することが私的自治の点からふさわしいと考える。
□ところで債権者代位権は債務者の権利を債権者が一定の条件を満たせば行使できるという側面を持つ。これは債権者が債務者の権利を代わりに行使するという点で、一定の条件が満たされれば発生する法定された代理関係との類似性が認められる。 すなわち、債権者は債務者を代理して対象となる債権を行使する、といえるのではないか。しかし債権者代位権は代理行為とは異なり、顕名行為(本人のためにするという表示を代理人がすること)が存在しないため、債権者代位権を行使した債権者が当該法律行為の効果の帰属主体となってしまうという点で違いがある(このため債権者代位権を行使した債権者は債務者の持つ金銭債権の債務者に対して直接自己に対して金銭の支払いを請求できる余地がある)。
□上述をまとめると、債権者代位権は債務者が自身の権利を行使しない時に責任財産の保護を目的として債権者が債務者に変わってその権利を行使するものであるといえる。しかしこのこの権利は債務者の持つ権利全てに対して行使できる権限ではない。そこで債権者代位権を行使できる一定の範囲が問題となる。この一定の範囲とは債権弁済可能性を守るという観点から責任財産に原則として限られると考える。
□以上を踏まえて本件事案について見てみると、BはCに対して有する債権以外の財産を持っていないため、このCに対する債権が消滅時効にかかるとBが無資力となるためAの債権回収可能性が著しく低下する。よって①債権の保全のために債権者代位権の行使が必要であると言える。次に②BはCに対する債権を有していながらこれを行使していない。このため債権者による代位行使が認められる。また債権者代位権は債権の弁済可能性を確保する手段であるがただ債権を持っているという理由だけで債権者代位が行われてしまっては債務者の負担が大きいため原則として保全対象となる債権が弁済期を迎えていることが必要だと言える。しかし本件ではAの持つBに対する債権が弁済期を迎えている等の記載はないが、③単にAはBの持つ権利の消滅を善意で防いだ事務管理類似の行為と言えるため、債権者代位ができないとすることはできない。さらにBのCに対して持つ権利がB以外の者の権利行使を許さないものであるという記述は無いため、④債務者の持つ権利は一身専属的な権利ではないと言える。よってBの持つCに対する債権をAはBのCに対する権利の消滅時効の完成を防ぐという範囲内において債権者代位権を行使することができる。
以上
参考
LEC 行政書士合格基本書2015年度版

感想

多分不正確な記述だと思うけども、よくまぁこんなに書いたもんだ。

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